広く深く開かれた慈悲を体感
50代 女性 医療福祉職
(2023年8月11日~16日アーナーパーナサティ16step徹底リトリート[第24回]にご参加 @法喜楽堂)
瞑想リトリートは、2016年に3泊4日で参加させていただき、今回2回目の参加でした。前回参加後、ブッタに関する本を少し読んだり、瞑想を細々としたりしていたのですが、忙しさを言い訳になかなか継続できていませんでした。また職場も新型コロナウィルスによる影響を強く受け、私自身目の前のことに精一杯な余裕のない日々を送る中で、半年くらい前から、生活や仕事の中で生じた悲しみや怒りで、気づけばよい集中ができない状態に陥っていました。それらを静めるために自分なりに見方を変えるなど対応してみましたが、繰り返し生じる感情に徐々に疲れ…そんな時、ふと以前リトリートに参加した時の、瞑想中の穏やかな心の状態を思い出しました。少しでも今の苦しい状態から抜ける糸口をつかみ、穏やかな心になれるよう整えたいと思ったことが、参加への気持ちでした。
久々の参加でも石川先生が変わらず受け入れて下さり、今回は16stepという素晴らしい構成の瞑想をじっくり学ぶ機会となりました。急がずに、解説・実践・振り返りを繰り返し、理解を確認しながら段階的に深めることができる有難いプロセスでした。
また16stepは、「身体・感覚・心・法」について、思った以上に能動の姿勢で確認しながら進める瞑想法で、何気ない刺激で生じてしまう様々な欲・執着に自ら気づき手放していくという、とても実践的な瞑想方法でした。自分の執着を見定めることは、時にとても大きな苦しみを伴うことがありますが、それなくして行く道はないのだということがよく分かりました。
「たとえどんな怒りであっても、怒りで対処すると怒りの業を周りや自分に撒いてしまう。生じた怒りを終わらせ、瞑想の平和な状態から訴え、理性的に抗議・対応する。」ということを、様々な例を踏まえて教えて頂いたことが、今回の本当に大きな学びでした。
また、「怒りがあるとそれ以外の大部分のよきこと、感謝すべきことが見えなくなってしまう」ということも教えていただき、今回のリトリート中に、感謝すべきことや喜びも多くあったことにも気づき、自然と涙が流れ、これからまた生きていく力を頂きました。
台風が来ていましたが、幸いにも2日目に楽しみにしていた山登りの行や法螺貝を吹くことも出来ました。悲しい気持ちが生じてから腹部の力が入りきらないような身体感覚があったのですが、感謝とともに悲しみを昇華させる気持ちで、ただただ息を吹き込み、終わった後は心地よい疲労感とすがすがしさがありました。法螺貝の音の振動には、心の震えに作用する力を感じました。
また、朝晩の勤行では、声という振動を通して、ブッダの教えや石川先生や参加者の皆さんのあたたかな気持ちが体に染み込むようで、支えになりました。
富士山の麓、森林の香りに包まれ、風渡る音や鳥のさえずりが聞こえ、山あいに靄が立ち消える様も見られるという、自然の無常の美しさを感じられる素晴らしい環境。「聖黙の原則」で静かな中でも、皆さんの心遣いや役割分担などがあり、美味しい食事や掃除などを通し、支え合う空間であったことにも大きな感謝でした。また、瞑想のあとのシェアリングでは、他の参加者の方のお話や質問からも、新たな気づきや学びを頂けることも、とても有難かったです。
ブッタの教えは、時空を超え、必要な時に与えられ、「『来て見よ』と招く」…その広く深く開かれた慈悲を体感したリトリートになりました。
リトリートから戻り、様々な刺激の中、次々に煩悩が立ち現れる日常。これからが大事です。
今回は兎も角、自宅の物を整理して、まずは瞑想を続けられる環境を作ろうと思います。また、私は一人では続けられないと前回分かったので、ブッタの教えや瞑想を学べる機会に足を運ぶなどしつつ、志ある方々と共に、瞑想から気づきを得ながら、少しづつでも慈悲喜捨の実践を続けていければと思っています。
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